2025年6月10日
「多目的屋内施設及び豊橋公園東側エリア整備・運営事業」(いわゆる豊橋新アリーナ建設計画)の継続の賛否を問う住民投票の判断材料の大切なことの一つとしてこれまでの経緯を確認しておく必要があります。
佐原光一市長が首相官邸で開催された第6回未来投資会議に出席し、豊橋公園の芝生広場に多目的屋内施設(新アリーナ)を建設する構想を発表。構想は地域活性化とプロスポーツ支援を目的としていた。
豊橋市は新アリーナの建設と運営について、民間事業者からの事業提案を募る方針を発表。PFI手法による官民連携を想定していた。
豊橋市は提案の中から、ゼビオホールディングスの子会社クロススポーツマーケティング株式会社(XSM)を協議対象事業者に選定。XSMの提案では建設費50億円は全額民間負担、30年間の運営・修繕費もXSMが負担し、市が使用料として60億円を支払う内容だった。
豊橋市はXSMに対し、新アリーナ建設と運営に関する最終の基本協定案を提示。協定締結に向けた調整が大詰めを迎えた。
XSMは豊橋市に対して、Bリーグチーム『三遠ネオフェニックス』が新アリーナを30年間継続的に使用することを条件にするよう求めた。豊橋市はこれに難色を示し、交渉継続は困難と判断。
豊橋市はXSMからの要望に応じられないとして、基本協定の締結を断念。同日付でXSMとの協議を打ち切ることを発表。
地元経済界の有志7人が発起人代表となり、『新アリーナを求める会』を結成。代表には種苗会社トヨタネの社長・川西裕康氏が就任し、経済界主導で再びアリーナ建設を推進する動きが始まる。
『新アリーナを求める会』が、新アリーナ早期建設を求める2万8270人分の署名を添えて、市議会議長に請願書を提出。市議会における議論を促す。
川西裕康氏の支援を受けた浅井由崇氏が豊橋市長選挙への立候補を表明。『新アリーナは豊橋公園以外』との立場を強調し、佐原市政との対立構図が明確になる。
浅井由崇氏が現職の佐原光一氏を破って市長に初当選。翌日には『場所は白紙に戻す』とし、豊橋公園での建設を否定する姿勢を見せた。
豊橋市が日本総合研究所に新アリーナに関する市場調査を委託。交通利便性、土地確保、周辺環境などを考慮した候補地選定のためのヒアリング調査を実施。
調査結果に基づき、豊橋市は豊橋公園が5候補地中で最も高評価(21点中19点)だったとして、豊橋公園を最適地とする中間報告書を公表。
浅井市長が記者会見で、建設地を豊橋公園と正式発表。公約を転換したことから批判の声が高まる。
Bリーグが2026年からの新B1リーグ(Bプレミア)における参入基準を公表。座席5000席以上などの要件が示され、新アリーナ建設の必要性が再浮上。
八町小学校にて唯一の住民説明会を開催。以降、市民向け説明の場が設けられなかったため、説明不足との批判が拡大。
市民団体が新アリーナ建設の賛否を問う住民投票条例制定を求め署名活動を展開。1万5991筆を集める。
建設予定地の半分以上が『家屋倒壊等氾濫想定区域』に含まれていることが判明。2021年12月に県が公表済みだったが、市は11月になるまで把握していなかったと説明。
市議会本会議で住民投票条例案を審議。浅井市長は議会による決定で民意は反映されているとし、条例に反対。自公などの反対多数で否決された。
住民投票条例が否決されたことを受け、市民団体代表が名古屋地裁に住民訴訟を提起。
豊橋市が豊橋球場を2027年度に総合スポーツ公園に移設し、跡地に新アリーナを建設すると発表。
Bリーグが新リーグ制度を発表。Bプレミア参入のための収益・動員・施設基準が明確化。
豊橋市の『不存在』回答は虚偽だったとし、住民団体代表が浅井市長を虚偽公文書作成の疑いで刑事告発。警察が受理。
豊橋市が2022年の市場調査報告書の提出遅延を隠すため、日付を改ざんしていたことを発表。
PFI事業『多目的屋内施設及び豊橋公園東側エリア整備』の事業者に、スターツコーポレーションを代表企業とするグループが予算230億7000万円に対して300円安い、230億6999万9700円で落札。
豊橋市がTOYOHASHI Next Parkグループと基本協定を締結し、整備事業が正式に始動。
豊橋市がグループと正式に事業契約を締結。愛知国際アリーナとは異なり、全額公費による整備。
豊橋球場の遺跡調査開始と周辺の樹木伐採の準備を開始。反対派からは抗議の声も。
三遠ネオフェニックスがBプレミアへの参入ライセンスを取得。新アリーナがホームアリーナとして承認。
新アリーナ中止を訴えた長坂尚登氏が市長選に勝利し、計画の見直しが再浮上。
長坂市長がTOYOHASHI Next Parkグループに対して特定事業契約の解除を申し入れ、解体工事を中断。